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レポート

レポート(6)~プレーリードッグコーリションとの交流会

2005年5月16日
PDfarmスタッフ 久保 眞弓

プレーリードッグコーリション

プレーリードッグコーリション

「プレーリードッグコーリション(PDC-PrairieDogCoalition)」とは、プレーリードッグの保護活動をしている団体です。「ロッキーマウンテンアニマルディフェンス(RMAD-RockyMountainAnimalDefense)」という様々な野生動物の保護や、自然保護活動をしている団体の「プレーリードッグ部門」という位置にあたります。コーリションでは土地開発により、棲みかを追われることとなってしまったプレーリードッグを、安全な場所に移動させる活動を行っています。ナショナルジオグラフィックという番組にも登場していた方たちです。

今回は2004年6月にコーリションのオフィスに配属された、リンゼイ・スターリン・クラークさんと、彼女のお友達で、「プレーリードッグアクション(PDA-PrairieDogAction)」というプレーリードッグの保護団体に所属している、デボラさんと会うことになりました。

保護活動の動機

ホテルのロビーで待っている私たちのもとへ、1人の長身の女性がやってきました。その人こそリンゼイさん本人でした。笑顔のすてきな明るい女性です。車に乗ってすぐ、リンゼイさんに質問してみました。

リンゼイさん
リンゼイさん

どうしてそんなに熱心にプレーリードッグの保護活動をしているのですか?

リンゼイさん(以下リ):私はもともと科学者で、大学でも科学を専攻していたの。だから色んな動物を研究してきた。ビッグホーン(オオツノシカ)、バッファロー、魚などなど。その中でもプレーリードッグが気に入って、今コーリションで活動しているの。

プレーリードッグにこだわる理由は?

リ:プレーリードッグはプレーリー(草原)においてとても重要な役割を果しているの。プレーリードッグがいなくなってしまうと、コヨーテ・クロアシイタチ・アナフクロウなどなど全ての動物がいなくなってしまうと言っても過言じゃない。ここの生態系を守るということはプレーリードッグを守るということだと私は考えているのよ。

コヨーテやクロアシイタチなどはプレーリードッグを餌とする捕食動物たちで、アナフクロウやウサギ・カエル・トカゲなどはプレーリードッグの掘った穴を棲みかとする動物です。またプレーリードッグが穴を掘ったりする行為が土に空気を入れ、良い土壌を作っているなどと考えられています。つまり生態系全体に大きく関わっているのです。

これはコーリションの核となっている考え方です。プレーリードッグが可愛いから保護するのではなく、生態系の一部として大切な役割を果しているから保護する、ということがよくわかります。生態系を守ることにかける熱意が、彼女の真剣な口調からうかがって取れました。

ちなみにこの日の翌日、翌々日と、プレに関するパーティーが開かれることになっていて、その準備に忙しいリンゼイさん。

それらのパーティーはどんな内容なの?

リ:明日の方が重要なんだけど…。科学者とか保護活動団体のメンバー、色んな役員、スポンサーなどが集まって写真を撮ったり、それを売って保護活動の資金にしたりするの。結構専門的な話も聞けるからおすすめだよ。その日は来られないの?

う~ん、せっかくお誘いを受けて申し訳ないけど、他の予定があるから…。

リ:それは残念!ぜひ来て欲しかったな~。

そういうわけでパーティーに行くことは断念しました。話の内容では100人くらい集まるかなり大規模なパーティーだそうです。

デボラさん登場

車はいったん丘陵地にあるパーキングに止まりました。リンゼイさんによると、ここで彼女のお友達を待つそうです。しばらくするととても気さくな女性、デボラさんが現れました。

デボラさん
デボラさん

デボラさん(以下デ):私はリンゼイと一緒にプレーリードッグの保護活動をしているの。プレーリードッグを捕獲して、安全な場所に移動させたり、プレーリードッグの怪我の手当てなどしているわ。よろしくね!

彼女の車のトランクには小動物用のキャリー、ひまわりの種などが入った袋、その他諸々の「プレ捕獲道具」が満載でした。

デ:私は家でも2匹のプレーリードッグを飼っているの。あなたは?

だいたい20匹くらいかな。

デ:ワオ!それはすごいわね。(久保個人が飼っている頭数と勘違いしていました)うちに今いる子のうち1匹は怪我をしているの。ひどい喧嘩をして背中の毛がはげて、片手が無くて、片目も失っているの。その子はあまりに怪我が酷すぎて、医者にも放牧は無理だと言われているわ。そんな瀕死の状態を救ってあげたからか絶対に咬まないし、夜も抱いて一緒に寝ているの。マイ・ベビーよ!

デボラさんは、リンゼイさんよりもっと、プレーリードッグが可愛くってしょうがない、といった印象を受けました。プレーリードッグにたいして母性をもって接している感じです。彼女はコーリションと似た「プレーリードッグアクション」という団体に所属して、土日のみこの活動をリンゼイさんと一緒に行っているそうです。

プレーリードッグのいる風景

全員そろったところでさっそく車で保護区に向かいました。道路のすぐ脇には広大な牧草地が広がっていて、プレーリードッグが自由に穴を掘り、コテリーやタウンを形成していました。

ロッキー山脈が見える絶景
ロッキー山脈が見える絶景

これらのほとんどは大きな牧場主の所有する私有地です。私有地ではいまだにプレーリードッグの駆除(毒殺)が行われており、これは違法にならないため禁止することもできません。

古くからある牧場主の間では、「プレーリードッグと家畜たちは共生できない」とか、「プレーリードッグが家畜の餌である牧草を横取りしてしまう」または、「家畜がプレーリードッグの掘った穴に足をとられて骨折する」といった誤解が根強く残っています。

また最近ではペストの問題が出たからでしょうか、「プレーリードッグ=害獣」というのが一般の考え方のようです。近隣に住む邦人男性に話を伺うと、当然のように駆除が行われているとのことでした。私有地といっても広大な荒地で、プレーリードッグがそれほど迷惑をかけているとは思えませんでした。非常に残念な話です。

ベビーと遭遇

保護区に向かう途中、偶然プレーリードッグのベビーを発見しました!

道路沿いの私有地にベビーを発見!
道路沿いの私有地にベビーを発見!

ちっちゃい!!
ちっちゃい!!

なんとリンゼイさんたちも今年初めて見たのだそうです。ボルダーでは、通常4月下旬~6月にかけてベビーが地上に現れるそうです。ですから彼女自身この日に見たベビーはとても早いと驚いていました。

ちなみに生まれたベビーのうち半数は地上に出ることなく死んでしまうそうです。原因は自然死ということで、これには栄養不足や母親による子殺し(少ないが)も含まれます。そして残りの半数が晴れて翌年を迎えられるそうです。

撮影のために車を降りてそおっと近寄ってみたのですが、やはり一定の距離に近づいてしまうと穴に隠れてしまいました。ちなみに彼女たちはベビーのことを「アーモンドヘッド」と呼んでいるそうです。確かに言われてみれば似ています。

保護区に到着

ベビーを発見した場所からすぐ近くに、保護区(国有地)はありました。周囲は木の杭に、鉄線を三本くらい張りめぐらせただけの簡単なものでしたが、これだけ広大でメインストリートから離れた場所であれば、問題はないように思えました。

ちょうどPDfarm入り口のような門をくぐって中に入ると、いたる所にプレーリードッグの穴がありました。広々しているのでPDfarmよりももっと間隔は開いていました。その穴をよく見ると、ホースのようなものがはみ出していました。

ダクトホースのようなもの
ダクトホースのようなもの

トラクターでの工事風景(PDC資料)
トラクターでの工事風景(PDC資料)

実際に埋め込んだところ(PDC資料)
実際に埋め込んだところ(PDC資料)

これはまさに私たちがPDfarmを作った時にやったことと同じで、プレーリードッグの穴を人工的に作ったものだということでした。このダクトホースのようなものを4フィート(約1m20)下まで斜めに埋め込み、箱のようなものを埋め込むのだそうです。そしてもう片方から同様にホースの穴を地表に出すのだそうです。

私たちの作ったファームでも似たような構造になっていますが、私たちのものは複数のホースがひとつにまとまったのち箱に終結するのに対し(出口が1個)、彼女たちのものは2本のホースがそれぞれ箱に連結している(出口が2個)もので、なるほどこちらの方が野生の巣穴に近い構造かもしれないと思いました。

また、プレーリードッグを保護してこちらに移住させた際、この人口の穴で5日間のトレーニングをさせるのだそうです。この土地に馴染ませてからでないと、天敵などに捕まってやられてしまうのだそうです。その後晴れて自前の穴で過ごすことを許されます。

警戒音について

敷地内に入る前にプレーリードッグが、何頭かキャンキャン鳴いて出迎えてくれました。それらについて説明してくれました。

リ:プレーリードッグはおよそ100もの言語を持っているの。その中の一つで「キャンキャンキャン…」という警戒音があるんだけど、危険が迫っている時(ブルドーザー・銃殺・天敵)は「キャンキャンキャンキャンキャンキャン!」と早く鳴くの。私たちが来た時には「キャン、キャン、キャン、キャン」。ちなみに「ウキューーーッ!!」というのは嬉しくて鳴いているのよ。

デ:仲間で連呼しているのは、「Imadeit!(わかったよ!)」「Imadeit!」「Imadeit!」…と言っているのよ。
何かを知らせるのに仲間の一匹が立ち上がって鳴いたのを見て、「確認した」「了解した」の意味で次々知らせていく様子。

草のこと

この辺りの気候はとても乾燥しています。今の時期はまだ冬から春に変わったばかりということもあり、草が青々と生い茂っている様子は見られませんでした。

バッファローグラス
バッファローグラス

生えていたのは、バッファローグラスという短いイネ科の生牧草と、クローバーが少々。ヤッカというサボテンのようなもの、ダイオウなどなど。この中でもプレーリードッグが良く好むのがバッファローグラスというイネ科の生牧草です。

この辺りの草には、この土地に古くからある在来種と、ヨーロッパなどから入ってきた外来種とがあり、プレーリードッグが好んで食べるのが在来種(バッファローグラス)とのことです。またバッファローグラスは栄養価も高いそうです。プレーリードッグが好むのも、このことを知っているからかもしれません。他にも似たような草があったのですが、「これを一番好んでいる」と彼女たちもはっきり言っていました。

クローバーは食べているの?

リ:あまり食べないわ。でも他に食べるものがない時にたまに食べるわね。デ:あとはヤッカも齧ったり。(確かにヤッカに齧った後がある)ヤッカの種を食べたりもする。

冬場は何を食べているの?

リ:雪と土をかき分けて、草の根っこを食べているのよ。そこから水分を採っているわけでもあるの。植物の種を食べるというのはほんの少しだけ。

なるほど辺りを見回すと、地を這うような短い草がまばらに生えているのみで、普段PDfarmを見ている私にとってはとても過酷な状況に見えました。(本当はプレーリードッグが食べ歩いているせいで草が短い状態に保たれているのです。)しかし本来は、このように餌が豊富にはない状況でも生きられる動物なのだということを、改めて思い知らされました。

彼女たちは口をそろえて言いました。「食べて死なないものならなんでも食べる!」と。

次の保護区に移動

もう一箇所保護区に連れていってもらうことにしました。

広大な土地
広大な土地

穴ごとに杭がささっている
穴ごとに杭がささっている

この土地はバッファローグラスが豊富
この土地はバッファローグラスが豊富

穴の周りに盛り土をしています
穴の周りに盛り土をしています

着いたのは先ほどのような山の中ではなく、比較的平地にありました。入り口の看板には「廃水処理場」とあったので、公共地であることはわかります。着いてまず、彼女たちはさえない表情で語りました。

リ:私たちがやっていることは違法なことかもしれないんだけど…。ここは公共地で、開発によって棲みかを追われたプレーリードッグを勝手にここに移動させているの。

確かに、この辺りの風潮としては「プレーリードッグ=害獣」というのが一般の考えであり、彼女たちのようにプレーリードッグをわざわざ保護しようというのは少数派なのかもしれません。それゆえに公然と保護活動をするにも世間の目が気になるでしょうし、移動先に許可を求めれば嫌な顔をされてしまうのも見当がつきます。保護活動それ自体のほかにも、こういった苦労も多いのかもしれません。

コテリー単位で移動

今度の保護区には、穴ごとに杭がたっているのが目立ちます。よく見るとその杭にはなにやら文字が書かれています。

コテリーの情報が書き込まれている
コテリーの情報が書き込まれている

ここに書かれている内容は?

リ:まず、私たちは各コテリー単位で移動を行うの。以前の棲みかで一緒だった家族をそのままこっちに移動させている。そして同じ穴に放牧した後、目印として杭を立てているの。だからここには「どこにいた家族で」「どんな家族構成で」といった情報を書き込んでいるのよ。

デ:「1AF」だと「1(匹の)、ADULT(大人の)、FEMALE(メス)」。「1YM」だと「1(匹の)、YOUNG(若い)、MALE(オス)」という意味よ。

ちなみにここに書かれていたのは、

  • SEC3…セクション3
  • 7-10…不明
  • NofEastPondCenter…イースト・ポンド・センターの北
  • 1AFY…1匹の大人のメス
  • 1AFY…1匹の大人のメス
  • 8-1…不明
  • 1AM…1匹の大人のオス
  • TRIAN…三角の土地
  • 7-10…不明
  • NofEastPondCenter…イースト・ポンド・センターの北
  • 1AFY…1匹の大人のメス
  • 1AFY…1匹の大人のメス
  • 8-1…不明
  • 1AM…1匹の大人のオス
  • TRIAN…三角の土地

という内容です。

もうひとつ、同じ杭ではありますが赤いテープで目印をしたものがいくつかありました。

赤テープは怪我をしたプレのいる所
赤テープは怪我をしたプレのいる所

テープを食いちぎるのは元気な証拠
テープを食いちぎるのは元気な証拠

リ:これは「怪我をしたプレーリードッグがいる」ことを表わしているの。以前オス同士の喧嘩などでひどい怪我を負ったものはいったん保護し、家に連れ帰ってある程度治療した後に同じ穴に放牧できるよう目印をつけてあるのよ。

彼女たちはたくさんのプレを保護しているため、どこにどの家族を放牧したかというのが覚えきれないといいます。ですからこのように目印と記録を残しているのでしょう。確かにここにある穴(家族)はざっと数えても15以上ありました。

巣穴のフン

私たちはひとつ大きな疑問がありました。PDfarmの中でフンはどこへ消えているのか?

巣穴の中のフンは最終的にどうなるのでしょう?

リ:それは地上にかき出しているわ。

私たちの所のプレたちは特に外には出していないようなんだけど…。

リ:へえ!それは知らなかった。でも、おそらく時間が経って土に変わっていくのだと思うわ。

巣穴の周りのフン
巣穴の周りのフン

巣穴のそばにあったコヨーテのフン
巣穴のそばにあったコヨーテのフン

ここでもすべてのフンをかき出しているとは思えなかったので、おそらくは埋めてしまったりもあるのかと思います。事実、埋めてしまった穴の跡もいくつか見られました。ただ、喧嘩などで埋め合いをすることもあるのでなんとも言えませんが。それからフンの形状は、PDfarmたちと似たつながった形をしていました。PDfarmのフンの方がみずみずしく、より繊維質な感じもしました。

巣穴のすぐ傍にコヨーテのフンがあったのはとてもリアルでした。野生下でたくましく生きているのだなーということを強く感じました。

ランチに移動

このあとランチをしながら色んな質問に答えてもらいました。アンケート用紙に答えを書いてもらい、口頭で補足説明を受けるという形をとりました。以下にその内容を挙げます。

  • Q.アメリカの野生下のプレーリードッグの寿命はどのくらいですか?
    メス:7~8歳、オス:5~6歳
  • Q.また死因にはどのようなものがありますか?
    捕食される、喧嘩などによる傷や病気、交通事故(月に何度とは言えないくらい頻繁にある)、共食い(これは滅多にない)
  • Q,ベビーを育てている間(穴にこもっている間)のえさはどうしているの?
    すぐ近くの草を食べるために、ベビーを育児室に残して出て行く。
  • Q.大家族になった場合、集団移動するのか?
    集団移動はそう無い。ただ、家族が増えると若いメスが(2歳くらいになると)自分を養ってくれるオスを探しにそれぞれ自発的に巣を出て行く。
    ユタプレーリードッグの研究をしているホグランド教授によると、オスが出て行くということでしたが、この点についてはまったく逆説なのが興味深いところです。
  • Q.また、オスは成長したら別のエリアに出て行くのか?
    お父さんプレが満一歳のオスを追い出す。
  • Q.怪我をしたプレーリードッグは、野生下ではどのように過ごしているのでしょうか?
    多くは捕食者に狙われやすい。しかしプレーリードッグはとても強いので、ほとんどが傷を負ったまま生き残り、残りわずかが死ぬ。
  • Q.プレーリードッグとの接し方で気をつけていることは?
    親や家族のように愛情をもって接すること。
  • Q.逃げるプレーリードッグを保護(捕獲)する最良の方法を教えてください。(道具など)
    「TruCatch」という仕掛け(ネズミ捕りを大きくしたもの)を使う。素手で捕まえる。餌を差し出しながらタオルや手袋で。
  • Q.プレーリードッグに咬まれないようなコツがあれば教えてください。
    素手が一番。そおっと背後から撫でるように触れて、人差し指と親指この2本でまず首をしっかり掴んで固定する。次に残りの指をわきの下あたりに入れて固定すれば、首を振っても届かないはず。
  • Q.プレーリードッグを穴からおびき出せるような食べ物があれば教えてください。
    オーツ、ひまわりの種、スイートポテト(デボラさん談。リンゼイさんはあまりよくないという反応)、生のトウモロコシ

時間の許す限り、デボラさんにじっくりと答えていただきました。リンゼイさんは翌日のパーティーの準備に忙しいらしく、しょっちゅう電話が鳴っていました。それからこんな質問も。

プレーリードッグをペットとして飼うことをどう思いますか?

リ:アメリカでは金儲けのためにプレーリードッグを捕まえてペット用に売っている。これは決して良いことだとは思えないわ。(ペストのこと、プレーリードッグがペットに向いていない等)色々な問題があるから輸出したくないし、ペットにもして欲しくないの、本当は。

彼女は私たち日本人がペットで飼っていることや、お金で取引をすることを責めるつもりは無いようです。仕方が無いというか割り切って考えているような印象を受けました。ただ生態系について考えている科学者としては、本音は「野生にいるものはペットにすべきではない」という考えなのでしょう。

プレーリードッグコーリション事務所へ移動

ランチの後は、事務所に案内してくれました。

ここではスージーさんという彼女たちの上司と会いました。スージーさんは、もう長年プレーリードッグの保護活動をしているベテランだそうで、翌日のパーティーでもプレーリードッグに関する調査を発表するとのことでした。

写真がたくさん
写真がたくさん

彼女のパソコンにはプレーリードッグ以外にも様々な野生動物の写真が入っていました。その中でも、プレーリードッグがヘルメットを被ってバズーカ砲を掲げて「リベンジ!」などと書かれた写真などが多数あり、保護を訴える中にもユーモアがたっぷりでした。それからプロの写真家が撮ったという写真がたくさん飾ってある部屋に通されました。

リンゼイさんによると、

リ:これはアナフクロウといってプレーリードッグの掘った穴に棲む動物のひとつだけど、プレーリードッグの数が減っていることによって、このアナフクロウの数も減ってきているの。他にもバッファローやキツネ、シカといったプレーリードッグに関わる動物もその数が減ってきているの。

ということでした。改めて生態系を守るということは、連鎖的なものだけに大変であることがうかがえました。すでに絶滅してしまった動物もいるそうです。今後ほかの絶滅危惧種を残していくためにも、プレーリードッグの保護は重要な位置にあることがわかりました。

ガニソンプレーリードッグ特大写真
ガニソンプレーリードッグ特大写真

この後、ガニソンプレーリードッグの写真をもらいました。そしてスージーさんと打ち合わせがあるというデボラさん。本当に親身になって質問に答えてくれたデボラさんでした。お礼を言ってプレーリードッグアクションのパンフレットをもらい、お別れしました。

お別れのあいさつ

リンゼイさんはこの後の予定がつまっていたらしく、それでも時間いっぱい付き合ってくれました。最後に謝礼として寄付金を渡してお別れとなりました。

リンゼイさんも最後まで親身になってくれ、「何かあったら連絡して」と直通のメールアドレスを教えてくれました。またWebサイトからリンクしてもいいかという申し出も快く受け入れてくれました。そして「今後もお互いの活動を報告し合って、関係を持ち続けていきましょう」と言ってくれました。

まとめ

今回のプレーリードッグコーリションとの交流は新しい発見も多く、たくさんの課題を持ち帰ることができました。興味深かったのは巣穴のフンのことや、メスが出て行く説など、今まで自分たちが得た知識とは異なる説が出たことです。彼女たちはあくまでプレの保護・移動がメインであって、毎日接しているわけではない(家でケアしている子は別として)のに、本当によくプレーリードッグの生態について研究していました。

コロラドではプレーリードッグがその辺にたくさんいるため、また長年の間違った害獣信仰のため、町の人々の態度は冷ややかなものです。その中で保護をしようというのですから彼女たちはきっと少数派にちがいないです。とてもやるせない気持ちもあると思います。間違ったことではないけれど、人々の理解を得がたい活動をしているというのは、心的苦労が大きいように感じました。

ネットで見かけるプレグッズに、「プレーリードッグ・クロッシング(横断中)」の看板がありますが、これが一つも掲げられていないのには愕然としました。道路の本当に間近に、それもいっぱいいるのがわかっていて、ここにこそ立てなきゃいけない看板だろうに…とやるせない気持ちでいっぱいです。

町全体がこれほどまでに協力的でないという状況が、現地に行って身にしみてわかりました。そういう政府や古くからの牧場主といった、多数派との闘いが過酷だという想像もつきました。

もし日本にもプレがたくさんいたとして、農家の方が作った野菜を荒らしたり、畑に穴を掘ったりしていたらどうでしょう。(ちょうど今の野生化したアライグマのように)いざ自分たちに被害が及ぶことになると、それを駆除の対象と見るのが、人間の正直な感情だと思います。そんなことを考えさせられた訪問でした。

以上、「第6回PDfarmレポート~プレーリードッグコーリションとの交流会」を終わります。

2005年5月16日
PDfarmスタッフ 久保 眞弓

ロッキー山脈を背にして記念撮影。左からデボラさん、久保、リンゼイさん、増田
ロッキー山脈を背にして記念撮影。左からデボラさん、久保、リンゼイさん、増田